溺愛宣誓
『幻影?それとも生き霊?』
茫然と呟く私に織田さんはちょっと気恥かしそうに顔を赤らめて頭を掻いた。
『や、カノの逞しい想像を満たしてやれないのが不甲斐ないが、実体だ。カノの事をあれこれ思い返していたらうっかり時間が経ってしまったようだ。』
『お、織田さん……』
私の事を思い返してくれただなんて…、気恥かしい半面、同じ事をしていたのだと思えば嬉しくて胸がキュンとなる。
しかし途端に織田さんの眉間に深い皺が寄った。
『カノ、まだそんな格好して…一体今まで何してたんだ?それに今からどこかへ行くつもりなのか?ま、まさかこれから別の男と遭い引きする気じゃ―――…』
『は!?ち、違いますよ!』
焦って事情を説明して誤解は説いたけども。
そんなワケでそんな行動を度々やらかす織田さんは近隣住人に不審者と誤解される要素がたっぷりある人物なのだ。
例えばそれが私ヘのあ、あ、あ、愛故の行為だとしても、余所様からしたら限りなく不審な行為に見えるかもしれない。
ああ、でも、これ以上は彼女である私の口からはハッキリ言えない。
だから察しのイイ織田さん、気付いて!