桜色の恋 (龍と桜とロボットと。)
























私がお兄ちゃんを蓮さん、と呼ぶようになったのは、
いつだっただろう。
















家は資産家であった祖父母の遺産を受け継ぎ、
父も会社の役員で。

世間で裕福層と呼ばれるような家だった。



母は厳しい人で、
父はなかなか家に帰ってこなかった。



私はいつも、
学校から帰ってきたお兄ちゃんに遊んでもらっていた気がする。


私とお兄ちゃんは4歳差。
同じ学校になることはほとんどなかったけど
帰ってくるとすぐ構ってくれるお兄ちゃんが
大好きだった。























「日和!
いい子にしてたか~?」


「おにーちゃん!
ひより、いいこにしてた!」

「お、偉い!」


ぐしゃぐしゃと頭を撫でる手が嬉しくて
ニシシ、と笑った。



< 291 / 315 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop