桜色の恋 (龍と桜とロボットと。)



「今日からお前のことは私が引き取る…」


どんな顔をしていいのか分からなそうな、
お父さ……元、お父さんの表情。


あの日から数日。

気がついたら、
知らない部屋の、知らないベットの上で、
知らない人に体調を聞かれて、
解熱剤やら風邪薬やらを飲まされて、
包帯巻かれたり薬塗られたりして、
同情されて。

気がついたら、着替えさせられて
お父さんの前に立っていた。



「お前ももう15歳だ。
来年からは高校にも通う。
部屋を用意するからそこに住みなさい」

お金は毎月振り込む。
家賃と光熱費はこちらで払う。
何一つ苦労はさせない。





…あぁ、そっか。

「はい、分かりました。」

私は、今、邪魔者でしかないんだ。



蓮さんの言ってたことは、
本当に本当だった。


「あぁ。
必要なものがあれば用意させるから言いなさい。
明日にはここを出て部屋に移る。」


言い残して、
施設の部屋を出て行った後ろ姿を、
ぼんやりと見つめた。


…私、あの人のことはなんて呼べばいいんだろう。




ものすごく状況に不自然な
子供みたいな思考回路で。










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