月に一度のシンデレラ

でも、きょうあいつが言ってた『夜の仕事』。じつはおれも、気になっていたんだ。


母さんは月に一回くらい、夜、ひとりで出かける。ばあちゃんも行き先は知らないみたい。母さんはいつも家で仕事をするか、週に何回か、昼間に新宿の「コールセンター」ではたらいてる。おれが学童に行ってるあいだにね。
月に一回、夜に出かけるのは、なんでだろう。どこに行っているのかな。


あやしい仕事ってなんだろう。考えていたら、おれはだんだん心配になってきた。
心配だから夕ごはんのとき、きいてみた。

「ねぇ、母さん。母さんは、ときどき夜出かけるじゃん? どこに行ってるの?」

母さんは笑って言った。

「どうしたの急に。お仕事よ。決まってるでしょう」

「フツウのお仕事?」

「…そうよ?」
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