溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

7日間の思い出が蘇って来る。

初めて会った日、泣きわめく私を抱き起こし攫ってくれた。


酔っぱらっても笑って許してくれたよね。

一緒にボルダリングもしたし、熱を出した私の為にハチミツダイコンがなんなのかも分からずに探しまくってくれた。

情熱的で、本当の恋人の様に扱うのが上手くて――そのくせ、全ての女性に優しくするのが当たり前だからと、自分の理想の相手がどんな人かも分かっていない癖に。


理想じゃなくてもいい、大切だと思う相手もいて。

こんなにいっぱいの気持ちを貰ったのに、――私は彼に何も気持ちを上げることはできなかった。
ただただ、良い思い出も悲しい気持ちもいっぱい貰った。



これ以上の恋はきっともうできない。

初めてしたキスが――ジェイドさんで良かったと唇に触れながら泣いた。

一人でベットに沈む中、0時の日付が変わるのを携帯の画面で確認した。

ガラスの靴を落とすこともなかった私の夢の様な日々は、此処で幕を下ろしたんだ。

< 221 / 244 >

この作品をシェア

pagetop