溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

ジェイドさんもバスローブを羽織りながら、お風呂に入ったのかぺたんこの黒髪が少し幼く見える顔で、悪魔の様に笑った。

「知りたい?」

「もちろんです!」
「――女性に恥をかかせたくないが、嘘も嫌いだから言おう」

ジェイドさんは、内線で食事の注文をするとクイクイと指で私に手招きする。

きょろきょろ探すが、私の分のバスローブが無くなってしまっていることに気づき、仕方なくシーツを身体に巻き付けたまま彼に近づく。

「キミは、昨日気持ち悪いと盛大に吐いた」
「嘘」
「嘘ではない。ケイリ―が片づけに来た時には今度は笑いながら熱いとバスローブを脱ぎ出した」
「それも嘘だ!」
「嘘なものか。今から来るから聞いてみると良い。君の美しい肌を誰にも見せてたまるかと、シーツで慌てて包めたら、キミは今度は俺の服にも吐いた」
「……」

もしそれが本当ならば私、めちゃくちゃ最低すぎる。
救いなのは、ジェイドさんが嫌そうに話してないことだけだ。
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