溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
一つ下の彼女は、可愛いが甘えん坊で我儘で、巨乳で小さくてちょこちょこ動き回るハムスターみたいな子だった。
甲斐は、この子と喧嘩しては別れたり喧嘩しては別れたり、別れては復縁したり別れたりしては復縁したり、別れては復縁したり。
まあ、要するに高校から大学、社会人になってからもずっと、こんな調子で別れては復縁を繰り返し、私が毎回愚痴を聞いていた。

『ハワイなんて行きたくない、甲斐くんとはもう別れる!』

そう言われ、『今度はもう追いかけね―からな』と吐き捨てた甲斐は、私を呼び出して二人で海が見えるビアガーデンでジョッキで酒を何杯も飲んでいた。
周りは会社帰りのおっさんたちで溢れかえっていて、うるさいし煙草臭いし、良いムードになる雰囲気0の場所。

――甲斐と会うからとネイルに気合い入れたり、仕事を終えるとすぐに髪も化粧もいつもより念入りに直したのに。
こんな場所に呼び出す時点で、女として見られていないんだと改めて気づかされる。
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