大阪セカンドシンデレラ



暫くその場で虹を見た後、いつもの通天閣の方角に目を向けた。


公園のベンチ。


いつも私が座って描いているベンチ。


その脇に誰かがいる。


背を向けて、通天閣を眺めている。


私の心の雲が急に流れて行った。


体中の震えを感じる。


この震えは。


驚きと、そして嬉しさの震え。


震える右手をまっすぐに伸ばし、そして呟いた。



「と、智君…。」


< 105 / 139 >

この作品をシェア

pagetop