君と花を愛でながら
不意打ちだったから?


……それとも。
好きな人じゃないから。


片山さんのおまじないは、どうやら逆効果だったみたいだ。
今は答えなくていい、と言って結局は逃げ道を残してくれてた優しい人だと思うのだけど。



「ごめんなさい」

「……いやだ。まだ聞かないって言ったでしょ」



そっぽを向いたまますぐに私の謝罪の意味を理解した。
ああ、さっきの微妙な顔の意味がわかった。


察したんだきっと。
私はそんなに、わかりやすい顔をしたんだろうか。


無味乾燥のままに終えた私のファーストキスは
ただただ苦く、何も生まなかった。


向日葵のつぼみは太陽を追いかけて花開く。
片山さんを見つめても、私の恋は咲かなかった。



「一途な向日葵 後編」 END


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