君と花を愛でながら
掃き掃除なんかはやらせてくれるけど、お花の処分はやっぱり私にはさせないように考えてくれている気がする。


今日も多分、さっきまでお花を刻んでいたんだろう。
だって、私がしていたみたいに、まだ傷みの少ない花を落として作業台に置いてくれているのが見えたから。



「……仕事だから、そんなに気にしないで欲しいのに」



以前よりはずっとお客さんも増えてブーケや切り花も売れ始めたから、処分する数は減ったと思う。


それでも、一瀬さんは自分で処分しようとして、私の手は煩わせまいとする。
どうしても処分する切り花が出るのは、仕方ないことだと思うのに。
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