君と花を愛でながら
ランチの時間を少し過ぎた頃だった。



「こんにちは、綾ちゃん」



そんな声と共に入ってきたのは、この頃常連のカップルさん。
私に声をかけてくれたのは女性の方で、私に向かってヒラヒラと手を振ってくれている。



「いらっしゃいませ、静さん、と彼氏さん」



カウンターに並んで座る二人は、美男美女ですっごく絵になる二人だといつも見とれてしまうけど。



「綾ちゃん、俺エスプレッソね」



彼女さんの前でお構いなしに、たかが店員の私を名前で呼ぶ彼氏さんが、私は好きじゃない。

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