純情喫茶―恋する喫茶店―
同じ頃、笙も明菜と肩を並べて歩いていた。

「お母さん、見つかるといいですね」

明菜が言った。

「見つかることを願ってるよ。

明菜ちゃんにも、いろいろと迷惑がかかっちゃったし」

そう言った笙に、
「気にしてません、迷惑をかけたことなんて」

明菜が笑いながら言ったので、笙も笑った。

「あの…」

明菜が立ち止まったので、笙も立ち止まって彼女に視線を向けた。

「笙さんのことが好きでした」

いきなりの告白に、笙は驚いて目を見開いた。

「迷惑かとは思いますけど、笙さんのことが大好きでした」

一生懸命に告白をする明菜を、笙は愛しく思った。

「迷惑だなんて思ってないよ」

笙の言葉に、明菜は笑顔を見せた。
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