純情喫茶―恋する喫茶店―
「かっこいい旦那様に愛されてもらってますから」

「笙、それ以上言うと拳が飛ぶよ」

「すみません」

いつものやりとりである。

元はと言えば、玲奈が谷木を叱責したことから関係が始まったのである。

玲奈に叱責を受けた谷木は彼女に好意を抱き、いろいろあった末に結ばれた。

(叱っただけで好きになるって…あの人って、意外とマゾなのかしら?)

谷木の人格が未だにわからない玲奈は、彼に振り回されっぱなしの身である。

毎日のようにキスされて、耳元でささやかれて…それだけでも大変なのに、夜になればさらに大変だ。

谷木のアダルトさに負けてしまい、自分はやられてしまう。

(私、本当に弱過ぎる…)

とは言っても…笙の言う通り、自分は彼に愛されているのだろう。

(たぶん、ね)

自分のセリフに、玲奈は首を縦に振ってうなずいた。
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