純情喫茶―恋する喫茶店―
玲奈は玄関先のポストで、谷木の部屋を確認した。

「206号室か」

これならばエレベーターよりも階段で行った方が手っ取り早い。

そう思いながら玲奈は階段をのぼると、谷木の部屋へと足を向かわせた。

部屋の前に到着すると、彼から鍵をもらって、土足のままで部屋の中へと足を踏み入れた。

暗闇の中でベッドを探すと、そこに谷木を寝かしつけた。

熊のような豪快ないびきをかいている谷木の横で、玲奈は一休みしていた。

「――全く、今日はロクでもない1日だった…」

玲奈は息を吐くと、ベッドの横に置いてある目覚まし時計に視線を向けた。

時計は夜の11時を過ぎていた。

そろそろ帰らなければ…と思って腰をあげようとしたその時、いきなり腕を引っ張られた。
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