純情喫茶―恋する喫茶店―
「身元は調べることはできても、本当のことを口にしない限り無理ですよ」

「本当のこと?」

そう聞いてきた谷木に、
「大事なものですから言いませんよ」

笙は言い返すと、谷木をにらみつけた。

「大事なもの?」

「大事なものを守るためならば、どんな手段も選びません」

そう言った笙に、谷木はクスッと笑うと千円札を置いた。

「あんたにはどうもかなわないらしい。

まあ、すぐにわかると思いますけど」

カチャッとサングラスをかけると、谷木は店を出た。

谷木が店を出たことを確認すると、
「大丈夫なの?」

それまでうつむいていた顔をあげると、玲奈は言った。

笙は玲奈を見ると、
「大丈夫だよ、本当のことは知られてない。

仮に知ったとしても、あの人じゃどうにもならないよ」
と、言った。
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