純情喫茶―恋する喫茶店―

理由―玲奈―

母親を探すため、店を臨時休業にした。

なのに、見つからない。

沈んで行く夕日を見ながら、玲奈は1人で公園のベンチに座っていた。

その隣に設置されている街灯に、灯りが灯った。

その灯りに、玲奈は泣きそうになった。

夕方の涼しい風が、火照った躰に心地よかった。

「――どこに行っちゃったのよ…」

泣き出しそうなこの気持ちを消すために、玲奈は呟いた。

弱っている時の自分が嫌いだ。

そう言う時の自分は、自分が自分じゃないみたいで嫌いだ。

どんな時も、自分は強く振る舞っていた。

けど、こう言う場合はどうしても強く振る舞えない。

恐怖が、自分の気持ちを消してしまうからだ。

「――ッ…」

声をあげて、泣き出しそうになった時だった。

「何してるの?」

聞き覚えのあるその声に、玲奈は顔をあげた。

谷木が目の前にいた。
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