純情喫茶―恋する喫茶店―
「結果的には、どうだったの?」

そう聞いてきた谷木に、
「見つかりましたが、また出て行ってしまいました」

玲奈は答えた。

「そうか…」

谷木が呟くように返事をした後に、この場に沈黙が流れた。

その沈黙を先に破ったのは、
「――ごめんなさい、こんな話をしてしまいまして」

玲奈の方からだった。

「いいんだ、僕が聞きたかっただけだから」

そう言った谷木に答えるようにう、玲奈の目から目から涙がこぼれ落ちた。

しかし、涙はどんなに拭ってもまたこぼれ落ちる。

そんな玲奈に、
「泣き虫なヤツ」

からかうように、谷木が言った。
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