こっちを向いてよ、ダーリン!
「それと、亜紀さん、お部屋を借りるお話なんですが……」
「もう必要ないってことなんでしょう?」
「えっ……」
「伊沢くんのところに帰ったのよね?」
「あ、はい……」
亜紀さんは何でもお見通しらしい。
先生が詳しく話すとも思えないから、さっきの私たち3人の様子で、全てが分かってしまったのかもしれない。
「事情があるんだろうとは思っていたけれど、まさか伊沢くんが登場してくるとは思いもしなかったわ」
「マスターと亜紀さんにも、沙羅が本当にお世話になりました」
圭くんが頭を下げると、亜紀さんは、「特別なことは何もしてないわ」と両手を振った。
「そうだよ。うちは沙羅ちゃんに働いてもらえて助かったからね」