夫婦の定義──君が僕のすべて──
それまで黙って話を聞いていたシンヤが、怪訝な顔でユウを見て呟いた。

「だけど、なんでユウの事が急に怖くなったんだろうな?」

ユウは唇をかみしめる。

「ロンドンに行く前も、帰ってからも、結婚する前にも…オレが一方的にレナを想って、レナの気持ちも聞かないで…勝手な想いを乱暴にぶつけて…レナを何度も傷付けてしまった…。その事を夢に見て、今になって恐怖に変わったのかな…。レナ、夢見て泣いて暴れて…“こんなの私の知ってるユウじゃない”って…。オレが昔レナに言われたのと、同じ言葉言ってたから…その時の事を夢に見たんだと思う。」

「でも…おかしくないか?今になってそんなふうになるって…。お互いに好きだから結婚までしたんだろ?」

「うん…。そうなんだけど…。」

「確かに、何かきっかけがあったはずよね。」

シンヤとマユは、不思議そうに首をかしげる。

「でも、原因は追及しない方がいいって。本人にとって負担にしかならないんだって。」

「そうか…。それにしても腑に落ちない…。」

シンヤはそう言って考え込んだ。

< 184 / 405 >

この作品をシェア

pagetop