タイガーハート

「何かを犠牲にしてでも、そばにいたい人がいるんだ」
再びテレビに視線を戻す。

『え?』

「でも、嫌われた。

全部俺のせいなんだけど」

『とら…。

とらは…悪くないわ。
かあさん、詳しい事はわからないけど。

とらは優しい子だもん。昔からずっと…』
たどたどしく話しはじめる。

励ましてくれているのだろうか。


「説得力ないし。

また駄目だったんだろ。

母さん…男見る目ないし。




…でも、ありがと」



その瞬間、母が俺を抱きしめた。
優しく、強く。

記憶の中の、母と同じ匂い。
同じ声。
同じぬくもり。


『とら…っ

本当にごめんなさい…っ』

涙を流しながら、母は俺に何度も何度も謝った。

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