俺様御曹司の悩殺プロポーズ
 


 ◇◇◇


嫌がらせについて風原さんに打ち明けてから、数日後のこと――。



風原さんは一人で色々と調べてはいるけれど、

まだ犯人は絞り切れていないみたいだった。



でもそのお陰なのか、嫌がらせの頻度も程度も、小さな物になっていた。



今朝は出勤した私の椅子に、『田舎に帰れ』と書かれたメモ用紙がちょこんと乗っていただけ。


犯人はきっと、風原さんに調べられていると気付いて、大きな嫌がらせをできなくなったのだと思う。


胸はチクリと痛むけど、仕事に実害がないものなら無視できるし、

良かったと喜ぶべきか……。



ホッとしつつ、モヤモヤしたものはまだ胸の中に抱えていた。


『田舎に帰れ』と書かれたメモ用紙は、うさぎのキャラクターの可愛らしい物。


このメモ帳を佐川アナが愛用していることを、私は知っていた。



やっぱり犯人は彼女だと思うのに、今朝も風原さんに「佐川じゃない」と言われた。


「小さなことでも何かされたら、すぐに俺に言えよ」

彼はそう言って心配してくれるけど、言うのが嫌になっていた。


『佐川はそんなことをする女じゃない』

そう言われて傷付くだけだと、わかっているから……。



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