俺様御曹司の悩殺プロポーズ
身嗜みチェックを終えた彼は鏡の前から離れて、私が座るソファーの横に立つ。
「俺がお前について思っているのは、そんなところだ。
期待する言葉を今はまだ言ってやれないが、これで少しは安心しただろ?」
「いいえ、全く」
私を面白いと感じて、側にいることを楽しんでいるのはわかったけれど、
それイコール恋愛感情にはならないと思う。
やっぱりわからなくて、
「うーん」と考え続ける私。
そんな私を上から見下ろし、風原さんはクスリと笑った。
「人が人を好きになる理由は、そんな物じゃないのか?
よくわからないが、気がついたら相手が心の中心にいた。そんな物だろ。
どうしても理由が必要と言うなら、やみつきにさせられたとでも思っておけばいい。
やみつき……そうか、この言葉がしっくりくるな。なるほど」
自分で言った言葉に納得しているのは彼だけで、
私は「はぁ」と、生返事しか返せなかった。