俺様御曹司の悩殺プロポーズ
 


田中プロデューサーは、斎藤部長が私を呼んでいると言った。



生放送直後に呼び出されるということは、

さっきの土曜ミルクカフェで、何かミスしたということだろうか……?

そう思い、冷や汗が流れた。



スタジオを出て階段を一つ上がり、三階のアナウンス部に入った。



それほど広くない部屋に、局アナ人数分の机が16個。


空いている机もあれば、座って資料作りに勤しむ先輩アナウンサーもいる。



15個の机を統括するように、前にドーンと構えているのが、斎藤部長のデスク。



斎藤部長が戻ってきた私を見て、こっちに来いと手招きしていた。



近付きながら、頭の中ではさっきの生放送の反省中。


日本語の使い方がおかしかったのだろうか……?

それとも親しみやすさをアピールし過ぎて、逆に視聴者からウザイと苦情がきたとか……?



はっきりした原因はわからないけど、部長のデスクの前で取りあえず、

「すみませんでした」

と頭を下げてみた。



斎藤部長が、「あ?」と眉を上げた。




「お前、何かやったのか?」



「え? いえ、何かやらかしたんじゃないかと思って、謝ってみたのですが……。

あれ?お説教じゃないんですか?」




ポカンとしてアホづら晒す私に、
斎藤部長はワハハと肩を揺らして笑った。



「違う違う。呼んだのは、悪いことじゃない。

春っぺに新しいテレビの仕事だ」



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