俺様御曹司の悩殺プロポーズ
 


『一』は『にのまえ』。

二の前の数だからという意味がある。


『小鳥遊』は『たかなし』。

鷹がいないので小鳥が自由に飛べるという意味から。


『月見里』は『やまなし』で、『四月一日』は……。


そうだ、春になると暖かい綿入りの服を脱ぐことができるという意味だった気がする。



わた……わたぬぐ?

何か違う。

えーと……どうしよう!
やっぱりわからなーい!!



この原稿が自分の物で、下読みする時間があったなら、あらかじめ辞書で調べることができたのに。



佐川さんの原稿は、所々に赤線が引いてある以外は、真っさら。


彼女は四月一日の読み方を知っているので、当然ふりがななんて振っていない。



頭の中では目まぐるしいほどに色々と考え続け、どうしよう!と焦ってもいるけれど、

実際に読むのをストップしていたのは、一秒くらいの短い時間。



焦る私の手元に、裏返しにした白い原稿用紙が一枚、隣から滑り込んできた。


それには『わたぬき』と、綺麗な筆跡の走り書きが。



< 301 / 452 >

この作品をシェア

pagetop