俺様御曹司の悩殺プロポーズ
スマホを風原さんに返して、「どうするのですか?」と目で訴えてみた。
「佐川は心配ない。こういうことは、くだらないと一笑に伏すタイプだからな。
だが、迷惑をかけたことは確か。後で丁重に謝っておく。
外部に広まった噂も、事実がない以上、自然消火してくれると思う。それはいいのだが……」
風原さんは一度言葉を区切り、溜め息をついた。
私の背中で両手の指を組み合わせ、私の目を真っすぐに見て言った。
「問題なのは、俺たちのことだ。
ここ数日、俺の周りを雑誌記者がうろついている。
今までもたまに気配を感じることはあったが、佐川との噂がネットに広まってからは四六時中張り付かれている。
俺の行動を監視すれば、必ず小春の存在が浮上する。
同じマンションであることは、隠れて付き合うためのメリットでもあり、同時にデメリットでもある。
別々に帰宅しても、お前の部屋の明かりが灯らず、俺の部屋の明かりがつけば、そういう関係だとわかってしまう。
マンション住人に金を払って、探らせる方法もある。
小春、すまない。お前とのことは、慎重に進めたいと考えているんだ。今、無理をすれば、この先の俺たちの未来はない。
しばらく、俺から離れていてくれ。
連絡はメールで。局内での会話も必要最小限にとどめよう」