迷い羊に連れられて

Side*Kouichi




久しぶりに野々瀬の役に立てて嬉しかった。

だけど、野々瀬と至近距離で目が合ってしまったときに、肌とクマが気になってしまった。

あいつは人一倍頑張りやで頑固だけどネガティブなところもあるから、自分の知らないうちにストレスがたまっていそう。

他の3年生もこの時期になると覇気がなくなって心配にはなったが、野々瀬は特に心配になった。

本当はあの小さな体を抱きしめて頭を撫でて、少しでも野々瀬の不安を取り除きたかった。

でもそんなことしたらひいきになるし、野々瀬にはセクハラと訴えられる。

だけれども、教師という枠を超えたいと思ってしまっている自分もいる。



「.......安藤先生、今夜お時間ありますか?」



こんなに悩んだのは初めてだ。
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