迷い羊に連れられて
友人は冗談っぽく聞いたが、俺は思わず野々瀬を思い出した。

...もちろん紹介しないが。



「教えるわけないだろ。」



ちっ、と舌打ちされたが、途端に俺の耳元に口を近づけ、



「麻美とはヨリ戻さないの?」



小声で聞いていた。



もう二度と会いたくない、そう言われてしまっては諦めるしかない。

遠くに座っている麻美の方をちらっと一瞬だけ目を向けた。

(4年前はあんなに近かったのに....。)



「....今更戻せるわけないだろ。」



とは思いつつ、帰りに偶然一緒になった。
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