月下美人が堕ちた朝
20060726am00:50
もしもあたしとスバルの間に女の子が生まれてきてくれたら。

名前はサクラ。

サクラ色のワンピースを着せて、髪は二つに結ってあげるの。

もしもあたしとスバルの間に男の子が生まれてきてくれたら。

名前はソラ。

スバルとキャッチボールをする姿を写真に撮って、家中に飾る。

スバルは、自分の子どもには「パパ」でもなく「お父さん」でもなく「親父」でもなく、自分の名前で呼んで欲しいって言っていたっけ。

理由を問うたら、こんなふうに言っていた。

「俺さ、人間って年齢とか性別とか血縁とかそうじゃないとか…。
色々あるけど、そんなの全然関係ないと思うんだよね。
どんな奴とでも、人間対人間でいたい。
だから俺は、パパとか父さんとか…みんなと同じ呼び方はいやだ。
女の子なら、スバルくん。
男の子なら、スバルさん」

ダルそうに生きてるくせに、情に厚くて人間が好きな人だった。
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