月下美人が堕ちた朝
20060725am11:21
一通り胃痛が収まってから、上半身だけ起こして時計に目をやる。

心地良いリズムを刻む秒針。

時間は進む。

容赦なく、あたしを死へと追いやる。

例えどんなに泣き叫んでも。

あたしはこれから、スバルという大きな存在を埋める術を得ることはないだろう。

ただなんとなく呼吸をして、なんとなく生きて、なんとなく死んでいく。

その日が明日でも、別に怖くなんてない。

あたしはもう、失うものは何一つないんだから。

ベッドから降りて、クローゼットを開ける。

その中から、マウジーのプリントティーシャツと細身のパンツを取り出す。

あたしのお気に入りのスタイル。

CDコンポの下にある棚の一番端には、真っ白なジュエリーケースが置いてある。

スバルと二人で使っていたけど、あたしのアクセサリーは数点だけで、ほとんどはスバルへの貢ぎ物だ。
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