月下美人が堕ちた朝
20060725pm05:06
幸せそうなカップルが、笑いながらあたしの横を通りすぎていく。

小麦色に焼けた華奢な女の子に腰に、どう見たって遊んでそうな男が手を回している。

二人からは、強烈な香水に混じって精液の匂いが漂う。

あたしはまた吐気に襲われ、ついその場にしゃがみ込む。

そして自分が、あのだらしないカップルに嫉妬していることに気が付いた。

こんなにも退屈な世の中なのに、好きな人が側に居るだけで笑える、という事実は、このあたしでも知ってる。

スバルと出逢うまでは、そんなこと綺麗事だと思ってた。

アヤねぇが結婚して、リンカが生まれてすぐにそんな話を聞いたとき、あたしはさっきみたいに鼻で笑った。

「どうしてそんなに皮肉っぽいの?
誰かに愛されたり、誰かを愛することは綺麗事なんかじゃない。
人間が人生を楽しく生きる一つの術よ」

中学生だったあたしに、アヤねぇの哲学的な話は難しかったし、自分には関係のないことのような気がした。
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