明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
 この写真をそう判断したのは私だけではなかったようだ。

 一度見てしまった人は自分の席に戻っていく。扉があくたびにみながドアに期待に満ちたまなざしを向けている。そして、各々が異変を感じたのか、教卓まで来ると、その写真をのぞき込んでいる。

 あゆみが教室に入ってくる。
 いつもは早く学校に来ているのに珍しい。

「どうかしたの?」

 私が教卓のところに立っていたためか、あゆみは不思議そうに教卓までやってくる。

 おとなしいあゆみが来たことで、男子生徒はそんな彼女がどんな反応を示すのかしりたいのか、にやにやと笑っている。

「やめたほうがいいよ。席に戻ろうか」

 彼女にはこういう写真をなんとなく見せたくなかったのだ。

 遠藤君たちは不満そうな顔をしている。

「何? 気になる」

 あゆみは不思議そうな顔で覗きこもうとしていた。

「やめたほうがいいよ」

 だが、そう発したのと同時にあゆみの顔が引きつるのが分かった。

< 101 / 193 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop