一つだけ願いが叶うなら
分かっていた。
最近帰りが遅い理由も、いつもスーツに香水の匂いがついている理由も。

きっと他に好きな人ができたんだと思う。

そこまでわかっていて別れを告げられない。

ごめんなさい…零央。

もうすぐ解放するから…

もう少しだけ…もう少しだけ…待っててもらえませんか…?


一週間後の私の誕生日までは一緒にいてください…。


そう思いながら眠りについた。
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