一つだけ願いが叶うなら
こんな時にまで自分のことしか考えられないなんて…本当私って最低ね…。

そう思ってた時、頭に愛叶さんの言った言葉が浮かんだ。


『幸せにしてあげてください』


苦しそうな、辛そうな声を出して言った愛叶さんを思い出した。


想い合っているのにすれ違っている。


ダメなんだね…壊しちゃいけないんだ…。


私に今できることは…社長に正直に言うこと。

愛叶さんが社長の幸せを願うんじゃなくて私が社長の幸せを願わなくちゃいけないんだ。


これ以上醜い人になってはいけない。


愛叶さんみたいに強い人にならないと私に幸せはきっとこない。


そう思った瞬間、私は社長室に向かって走りだした。
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