過去恋に今の鼓動を重ねたら
「俺、忙しくて、こんなところにずっといる暇はないんだけど」


外から帰ってきた雅也さんはこれから、事務処理をしなくてはならない。雅也さんのデスクにはいつかの書類が置かれていたのを思い出す。その中には今日中に処理しなくてはいけないものもある。

私だって、戻ってやることがある。だけど、真面目の表情をしている圭司を振り切れない。わざわざ私たちをここに戻したのには、理由がありそうだ。


「河原に話しましたか?」


「何を?」


「とぼけるのですか?俺の口から言ってもいいなら、今ここで言いますよ」


挑戦的な目をする圭司に対して、雅也さんの反応は無表情という感じだ。

私に話すことはなに?

私が知らないことで圭司が知っていることなんてあるの?


「真島くんには、関係のないことだろ?」


表情は変わっていないけど、口調が苛立っている。


「そうだけど、河原を傷付けないで欲しいから」
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