過去恋に今の鼓動を重ねたら
「もう昼休みは終わっているけど、まだいたの?」


「会議室で打ち合わせをしていたんだよ」


「へえー、打ち合わせですか?」


私が答える代りに雅也さんが答えたが、嘘は圭司に見抜かれている。嫌味な言い方をする圭司に対して、こめかみがピクッと動く。ここで揉めるようなことをしたくない。

雅也さんが口を開く前に、圭司に聞く。


「あ、真島くん。これから出掛けるところなの?」


「うん。それより、俺も打ち合わせにまぜてもらいたいな」


雅也さんの言い訳に付き合えば、もう打ち合わせは終わったという設定だ。なのに、廊下に出た私は、会議室に戻されてしまう。

もちろん、雅也さんも一緒である。かなり気まずい状況。一体、何の打ち合わせをしようというのよ?

訳がわからなくて、圭司を軽く睨む。だけど、私の睨みに気付いているのだか、いないのだか分からない顔で、優しく微笑む。この場において、そんな笑顔を見せるなんて…圭司から思いっきり、顔を逸らした。
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