過去恋に今の鼓動を重ねたら
仕事は定時に終わりそうだった。帰りの電車で真島くんにメールを送ろう。真島くんと話が出来ることに心が弾んだ。


「河原さん」


「はい」


「これ、明日でいいから、20部作ってもらえる?」


雅也さんから、少し分厚い資料を渡された。明日なら大丈夫、私は快く引き受けた。


「それと、今夜予定ある?行ってもいい?」


「あ、今日はごめんなさい…」


「そうか、じゃあ、明日午前中までによろしく」


予定は真島くんと電話で話すことだった。真島くんに今夜は話せないと連絡をすれば良かったのだけど、雅也さんよりも真島くんを選んだ。

なぜだろう?

自分の出した答えに自分で問う。

冷静に考えれば、選ぶべきものは恋人である雅也さんだ。咄嗟に断ってしまった自分を責める。でも、今から今夜大丈夫だから来てとも言いにくい。

結局、真島くんを選んだままにした。
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