過去恋に今の鼓動を重ねたら
「昨日はメールありがとう」


「あ、うん。クスッ、お礼はメールでも聞いたよ」


もらった名刺を見ながら、メールを送った。


「こんばんは、河原です。今日はビックリしたね。これから、よろしくね。では、明日」

「メールありがとう!本当に驚いたよ。明日の午後に行くからよろしく」

「うん。おやすみなさい」

「おやすみ」


ごく普通の挨拶だった。どう送ろうか最初は悩んだけど、あっさり終わった。安心したけど、少し寂しい気分にもなった。聞きたいこと、話したいことがいろいろあったけど、何も話せなかった。

ただ仕事で偶然再会した同級生。それだけだから、深入りする必要もないかな…と変な納得をした。


「あのさ、今夜さ、電話してもいい?」


「え?」


「メール苦手でさ、出来れば直接話したいけど、ダメかな?」


メールが苦手だったから、あっさりと終わったんだ。短いメールの意味が分かった。


「ううん、いいよ」


後で電話番号をメールで教えることを約束して、私は総務課に戻った。
< 17 / 246 >

この作品をシェア

pagetop