過去恋に今の鼓動を重ねたら

スマホをまたテーブルの上に置いた雅也さんは、洗面所に行く。作り終えた料理を並べながら、疑問に感じたことを聞いてみる。


「さっきの電話、誰だったの？」


「珍しいね。紗菜が興味を持つなんて」


今まであれこれと聞いてこなかったけど、さすがにさっきの電話の内容は気になった。誰が待つ場所に帰るのか…雅也さんは私と同じように、一人暮らしのはずだ。

でも、さっきの電話では電話の相手が待つ場所に帰るようだった。


「だって、帰ったら、その電話の人が待っているみたいな言い方だったから、誰なのかなって」


「とりあえず、食べてもいい？食べてから話すから」


本当にお腹が空いているみたいで、返事を聞く前に、メインの酢豚に箸を伸ばしていた。食べてから話すというなら、待とう。雅也さんが帰るまでに聞けばいいことだ。

でも、帰るということは、泊まらないということ。明日も仕事だけど、着替えは置いてあるから、いつものように泊まるものだと思っていた。