過去恋に今の鼓動を重ねたら
何かあれば、圭司がいる…いつでも待っていてくれる圭司を信じて、心の頼りにして、言葉を待った。


「ごめん、紗菜。俺、結婚するんだ」


「え？結婚？…誰と…」


「５年前から付き合っている人がいて…その彼女と結婚する」


「５年前から？」


私と雅也さんが付き合った期間よりもはるかに長い５年だ。しかし、私に交際を申し込んできたのは、雅也さんだった。それなのに、他の女と結婚する？

彼女がいる身で、私に好きだと言ったの？


「どういうこと？」


雅也さんの言っていることが全くもって、理解不可能。私と付き合っているはずなのに、他の女と結婚するなんて、おかしな話だ。


「彼女は、１年半前に東京から大阪に転勤になったんだ。それで、半年くらいは連絡もちゃんと取っていて、１ヶ月に1、2回は会っていて、遠距離でも大丈夫だと思っていた。だけど…」


雅也さんは、湯気が上がるコーヒーを眺めながら、淡々と話していた。
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