過去恋に今の鼓動を重ねたら
想像も出来ないことに手を大きく横に振った。

「もしだよ。もしもの話。どうなの?」


「分かんないよ、そんなの…考えたこともない」

千帆は白黒をはっきりさせたい性格だったから、曖昧な返事では納得してくれなかった。でも、私は本当に分からなかったから、はっきりした答を出せなかった。


「ん?なに?分からないとこあった?」


「ううん、ない。何でもないよ」


千帆から聞かれたことで、その後の私は真島くんを意識するようになってしまった。

意識し出すといつでも真島くんの姿を探すようになった。球技大会でも、真島くんの動きしか見てなかったし、教室の隅のほうで数人の男子とはしゃいでいた時も真島くんだけを見てしまった。

真島くんの笑顔が好きだった。そして、好きだということに気づいた。気付いたからと言って、告白なんて出来なかったし、何もすることが出来なかった。



♪~♪~♪


「はい」


「紗菜、ごめん。まだ帰れそうもないから、今日は行けない」


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