過去恋に今の鼓動を重ねたら
休み時間や放課後、分からないところに教え合った。受験まで半年くらいしかなかったから、協力しあうことが成績アップに繋がった。



「紗菜さ、真島のことが好きなの?」


「え?何で?」


「だって、仲がいいじゃん?よく一緒に勉強しているし」


その頃、一番仲の良かった千帆に聞かれた。千帆は高校生の彼氏がいたからか、クラスの中でも大人びていて、恋の話に敏感だった。


「ただ分からないところを教え合っているだけだよ。隣の席だから、聞きやすいしね」


「ふーん。じゃあ、好きじゃないの?嫌いなの?」


「え…嫌いじゃないよ。いい人だと思うし」


私は他に好きな人がいるのでもなかった。いまいち、恋というのがよく分からなかった。もっと幼い頃にみんなが好きという男の子がいて、一緒になって「私も好き」と言ったことがあるくらいだった。


「じゃあさ、もし告白されたらどうする?」


「ええ!そんなことされないよ。あり得ない、あり得ない」
< 3 / 246 >

この作品をシェア

pagetop