過去恋に今の鼓動を重ねたら
真島くんの会社の最寄駅は乗り換えなしで行ける同じ路線にあった。30分ほど揺られて、約束の10分前に着く。


駅の北口で待ち合わせ。人が多く通って行く。’今から出る'と連絡が来たのが5分前だった。会社から駅まで徒歩10分と言っていたから、あと5分したら来るかな。

何だか心が弾む。


「お待たせ」


「うん。お疲れ様」


走ってきたのかな。額に汗が滲んでいた。


「急がなくても良かったのに」


「連絡した後に課長に呼ばれて少し出るのが、遅くなってさ、少し走った。やっぱり、レストランで待ち合わせれば良かったよな」


「ううん、一緒に行きたかったから」


私のために走ってきてくれたと思うと、単純に嬉しかった。

レストランは真島くんが予約してくれていた。


「行こう」


少し汗ばんだ手が私の手を包む。躊躇いもなく繋がれたことに、鼓動が早くなった。

この手を繋ぐ意味は何?

誰とでも簡単に繋げるのかな?


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