過去恋に今の鼓動を重ねたら
もし何かあったらって、何?別れるとか?

覚えておいたら、どうするというの?

言われた意味が理解出来なかった。だけど、詳しく聞けない。


それからの真島くんは手さえも触れることをしなかった。同じように楽しく話しているつもりでもぎこちなさを感じた。


「そろそろ帰るね」


「駅まで送るよ」


結局真島くんちにいたのは1時間くらい。缶ピールは二人で3本開けただけ。

終電まで1時間以上あったけど、居続けることが出来なかった。真島くんも敢えて引き止めはしない。


「ありがとう」


「うん、気をつけて帰って」


私は真島くんに背中を向けた。足取りが重い。もう楽しく話すのは無理かな…。

彼氏のいる女に手を出さそうしないのも真島くんなりの優しさかな。


ゆっくりと振り返った。真島くんの後ろ姿が遠くなっていく。

次の約束は何もしてない。もう連絡も来ないかもしれない。重い足を踏ん張って、電車に乗った。
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