過去恋に今の鼓動を重ねたら
けれど、その間違った思い込みを否定しようとしなかった。


「そういえば、聞くの忘れてたけど、彼氏いるの?」


今になって聞くなんて、遅い。確認するなら、もっと早くに…。


「うん、いる」


「だからか。ごめん、変なこと言って」


「ううん、気にしてないから」


「いや、少しは気にして欲しいんだけど」


伏し目がちになっていた真島くんが真っ直ぐ顔を向けた。酔っていても分かる真剣な眼差しだ。今度は私のほうが伏し目がちになりそう。


「あの…」


「彼氏とうまくいってる?」


「うん」


仲は悪くない。喧嘩もしたことはない。円満なお付き合いが出来ている。「よく出来た恋人」に特別な不満はない。


「付き合ってどのくらい?」


「半年くらい」


「なんだよー、半年前に会いたかった!」


雅也さんと付き合う前に再会してたら…私は真島くんを受け入れただろうか。

それは分からない。


「じゃあさ、もし何かあったら、俺がいるってことを覚えておいて」


「え?」
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