【番外編】 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~
気が付けば病院の前にいた。
気持ちが悪くて、吐き気がしそうだった。
きっと顔色も良くないだろう。
何をしているんだ、タイムは“あいつ”とは違う。
違うんだ...。正気になれ、正気に...。

ずっと病院の前に佇む俺に、不信を抱く人々の目が刺さる。
周りを見ると行き交う全てが、この世のものとは思えない化け物に見えた。
息が上がり、言いようの無い恐怖が押し寄せる。


「...殺さなきゃな...。」


ポケットからナイフを取り出そうと、手を動かす。
突然後ろから腕を掴まれた。


「何考えてるんだ!セルリア!!」


声はギフトだがその姿は、皮膚が爛れ筋肉組織が剥き出しになっており、片方の目は腐り果てていた。頭蓋骨も見えていた。
恐ろしくて仕方が無い。


「止めろ!離せッ!!化け物!!」

「こんな時に...あの症状か。」


何言っているんだ、この化け物は...。
化け物が触れている場所から、俺の腕が腐っていく。

気持ち悪い、見た事も無い虫が俺の足から這い寄ってくる。
俺の腕が落ちる、腐って落ちる...。
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