はるのリベンジ


私は、書簡を、土方副長に渡す。


はる「これは、ここにいる隊士全員について、俺が調べた事を書いています。」


土方「俺や、近藤さんまである・・・。」



はる「はい。勿論です。記録ですから。と言っても、復讐の為に、調べた事が多いですが・・・。」


私は、伊東参謀と、藤堂組長、伊東一派の方達の書簡を出した。



はる「単刀直入に言うと、伊東一派は、ここを乗っ取って、尊王攘夷の代表になるような組織にしたいようです。山南総長もそうですが、尊王攘夷の志士達を斬っている、今の新選組の現状に不満を持っている。藤堂組長は、純粋に、その活動が出来るならということで、伊東参謀を近藤局長に会わせたと思われます。」



近藤「なるほど。しかし、我々だって、尊王攘夷だ。これまでの働きを見れば、一目瞭然。」


はる「はい。その通りです。しかし、尊王攘夷派の志士達を斬っているのは事実。藤堂組長は、そこが、耐えれないのでしょう。ただ、伊東参謀は、違います。尊王攘夷の考えは、もちろんの事、自分の名を上げたいという考えを持っている。」



土方「それって、まさか・・・。」



はる「(近藤局長を)口で上手いこと言って、掌の上で転がすのか、消すのかまではわかりません。」



敢えて誰をと言わなくても、わかるだろう。



沖田「っ」



沖田組長が、反応した。



はる「伊東参謀は尊王攘夷が出来て、名を上げれるなら、どこでもいい。幕府側でも倒幕派でも・・・。先程、伊東参謀に皆様の近藤局長や、土方副長が大事にされている“義”を侮辱されて、刀を抜きました。それに、山南総長のことも言われ、我慢の限界に達した次第です。」



土方「なるほど。でも、だからと言って、刀を抜いて良い理由ではない。わざと怒らせるようにしたかもしれねぇ。それに乗ってしまったのは、お前が、まだ、未熟だからだ。」


はる「はい。反省しています。」



近藤「わかったなら良い。それで、長州に、帰るのか?」


はる「はい。すぐにでも、用意して、高杉様の元に行こうかと。」


近藤「ふっ。そうか。梅君、おなごの顔になってるぞ。」


はる「あ・・・。すみません。」


近藤「良い。俺達が、君の人生を狂わせた。今度は、幸せになってくれ。君のことは、息子のように思っていた。これからは、敵になるが達者でな。」


はる「ありがとうございます。」


私は、近藤局長に、抱きついた。



はる「確かに、苦しいことも沢山ありましたが、皆様に出逢えたこと、私の宝だと思っております。どうか、お元気で。」




近藤局長は、トントンと私の背中を叩き、ギュッと抱きしめてくれた。









そして、私は、長州に向かった。





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