はるのリベンジ
風雲児とじゃじゃ馬愛妾





慶応元年12月3日。


先生は、赤間関都合役を命じられ、下関の新地会所にお勤めされていた。



私達は、入江様邸の茶室で一緒に暮らしていた。



東行「はる・・・。行ってくる。」


はる「行ってらっしゃいませ。」



そして、私は1日家事をして過ごす。


夫婦みたいだ・・・。



でも、自分の身分はあくまでも妾だ。



東行「戻ったぞ。」


はる「はい!」




ぬるま湯を入れた桶と手ぬぐいを持って行く。



はる「お帰りなさいませ。」


東行「あぁ。足を頼む。」


はる「はい。」



私は、東行先生の足を洗う。




先生は足を洗われるのが好きなのか、甘えるのが好きなのか、よくわからないが、私の仕事だ。



そして、夕餉を済まして、先生は湯浴みの後、お酒を飲んでいた。


私も、全ての家事を終え、湯浴みの後、先生の隣に腰を落とす。



すると、先生は、私を抱えて、胡座をかいた上に座らせる。


はる「と・・東行先生・・・。恥ずかしいです。」


東行「別に、二人きりだ。気にするな。」


すると、先生は、私のうなじに唇を這わせる。


はる「ちょ・・・。ちょっと、先生!」


東行「はる・・・。酒、飲むか?」


悪戯っぽい目が気になるが・・・。



はる「はい。いただきます。」


と、お猪口を取ろうとすると、先生は、徳利ごしにお酒を口に含んで・・・。



はる「ま・・・。まさか・・・。んっ。」


そのまま、口付けをされ、口にお酒を流し込まれる。


はる「んんー!」


舌を絡め取られる。


口からこぼれ落ちたお酒を、舌で舐め取られ、ピクリと身体が揺れる。


すると、先生はゆっくり唇を離し、艶のある笑みを浮かべ、


東行「はる・・・。前にも、同じ事があったのを覚えているか?」


はる「勿論です。私・・・。すごく、焦っていました。」



先生は、私のこめかみや、耳に優しく唇を当てながら言う。


東行「くくっ。そうだったな・・・。あの時は、ここまで、心奪われるとは思っていなかった・・・。あの時は、ただ面白いと思っただけだったのにな・・・いや。初めから、心奪われていたか・・・。」


はる「え!?私は、変なお坊様に捕まってしまったと思いました。でも・・・。あの時、出会えて良かったです。こんな気持ちを教えて下さったのは、せんせ・・・。」



東行先生に唇で口を塞がれた。



先生は、私を抱えて、褥に下ろした。


髪を梳かれて、何度も角度を変えて、唇を吸われる。


暗い部屋に、口付けの音だけが大きく聞こえる。


はる「春風様。この愛おしい気持ちを私に教えて下さり、ありがとうございます。お慕えしています。どこまでもついて行かせて下さい。」


東行「ふっ。俺もだ。はる・・・。お前を愛おしく思う・・・。」


そして、首筋に顔を埋めた先生は、私の帯を解き、露わになった身体をなぞる。


肩や、首に口付けをされて、身体が熱くなる。




先生の腕の中でいつも思う。



ずっと、この幸せが続けば良いのに・・・。



そして、甘い時間は過ぎていった。

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