艶麗な夜華
悲しい過去
結局、返すしかなかったお店の鍵。

いくら考えても恭也と会う口実が思いつかず、


もう会えないのかと思うと果てしなく落ち込む。


なのに……

目の前には能天気な翔。


"見舞いに来て"と言う翔のお願いを断れなかったあたしは……


「あっ!あと、趣味は映画鑑賞らしいよ!」


どうでもいい話を、


もう30分は聞いている。


「そうなんだぁ~」


「あっ!それと、この前百合花ちゃんのお見舞いに、


あのビルのオーナーじゃない他の男の人が来てたよ!」


「えっ?」


少し気になるその話。


でも、結局なんの情報も得れないまま、


また、どうでもいい話が始まる。


「誰かはわからないんだけど、


なんか深刻そうな顔で話してた」


「そう……」


「っていうか最近全然彼女から連絡ないんだよなぁ~。


ねぇ沙希?どうしてだと思う?」


「知らない!」


「ちゃんと考えてよ!」


「あたしそろそろ行くね」


「えぇ~」
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