艶麗な夜華
裏切り
翼の情報が得られないまま暦は4月。



今日からお店の改装工事が始まる。



恭也は相変わらずそっけない感じで、


あたしは必要以外の事は言わないようにしていた。




「ねぇ翔?翼の事まだなにもわからないの?」



髪の毛をセットしている最中に翔に話しかけたのは失敗で、


せっかく引き上げた髪の毛がバサッと下に落ちる。



「それがさぁ~」



「あっ!ちょっとなんで手を離すのよ!」



「あっごめん……俺、2つの事同時にできないんだ。


だから美容師諦めたっていうのもあるんだけどね。


ほらっお客さんと会話しながらやらなきゃいけないでしょ?」



慌てて髪の毛を元の位置まで引き上げる翔。



本当……なんていうか。



「じゃあ話さなくていいからセットに集中して!」



「うん」













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