ダンデライオン
忍兄ちゃんは私の頭のうえにポンと手を乗せると、
「明日、板前見習いにちゃんと聞いた方がいいと思うよ?

彼の身内の人だって言う可能性もあるんだからね?」

そう言った後で、私の頬に手を伸ばした。

指で拭われたその仕草に、私は自分が泣いていたことに気がついた。

「アサちゃん、返事は?」

そう言った忍兄ちゃんに、
「はい」

私は首を縦に振ってうなずいた。

「さ、もう少しだけお祭りを楽しんだら帰ろうか?」

忍兄ちゃんが笑いながら言った。

「うん!」

私も笑顔で首を縦に振ってうなずいた。
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